切り札・仕分け第2弾、「政治ショー化」懸念も(読売新聞)

 鳩山首相が政権浮揚の切り札と期待する「事業仕分け」第2弾は、官僚OBの天下り先となっている独立行政法人の不透明な実態や無駄遣いに切り込んだ。

 ただ、財政的な効果が薄いと見られるだけに、官僚たたきなど「政治ショー」になりかねないとの懸念も出ている。

 ◆納税者目線◆ 

 第2弾の最初に取り上げられたのは、沖縄科学技術研究基盤整備機構。2012年度の開学を目指す沖縄科学技術大学院大学の設立準備を行っているが、その運営委員会は、委員10人のうち5人が国内外のノーベル賞受賞者と、そうそうたる顔ぶれがそろう。

 「ノーベル賞受賞者を招くことで大学が世界レベルになる、というつながり(理屈)がよく分からない」

 民間仕分け人の松本悟・一橋大大学院非常勤講師は、大学の設立準備に世界トップレベルの科学者を集めることの効果に疑問を呈した。

 委員の報酬は年間1万ドル(約93万円)で、年2回程度の委員会に出席すると、さらに1回5000ドル(約47万円)の謝金が出る。仕分け人たちは「会議にまったく出なくても年間1万ドルもらえるんですか」「会議に出ない委員は何をしているのか」と“納税者目線”の質問を次々とぶつけた。理事長が沖縄在住でないことも問題視した。

 結果は「予算縮減」。02年のノーベル生理学・医学賞を受賞したシドニー・ブレンナー理事長は会議後、記者団に不満をにじませた。

 「個人的な理由で沖縄に住めないが、国際的ネットワークを使い、毎日毎日、この機構のために仕事している。委員たちへの年間1万ドルは極めて適切な額だ」

 今回の事業仕分けは初日から、高額な給与など恵まれた待遇にあったり、国や民間との事業重複など典型的な無駄を抱えるように見えたりする独立行政法人が対象に並んだ。議論は前回同様インターネットで生中継され、国民の多くが明らかに無駄だと思えるような事業に冒頭からメスを入れ、「見せ場」を作った。

 ◆意気込み◆

 鳩山政権は、首相や小沢民主党幹事長の「政治とカネ」の問題や沖縄の米軍普天間飛行場移設問題の行き詰まりなどで、支持率の低下に歯止めが掛からない。「子ども手当が支給されれば支持率も下げ止まる」(首相周辺)と見る向きもあるが、高速道路の新料金制度をめぐる迷走も加わり、事業仕分けは政権浮揚に向けた「頼みの綱」だ。

 鳩山首相は23日夜、首相官邸で記者団に「『縮減』(判定)などがもう出てきている。国民の目線でしっかりやってもらいたい」と期待を寄せた。枝野行政刷新相は23日の開会式で「政権が国民から求められているのは税金の無駄遣いをやめさせることだ。私たちが先頭に立って、この仕事を遂行することが、国民の信頼を回復する唯一の方法だ」と意気込んだ。

 ◆皮肉◆

 官僚OBの天下りの温床と指摘されてきた独立行政法人に切り込み、「政官業の癒着構造」にメスを入れる意義は小さくない。

 労働政策研究・研修機構が行うインターネットを通じた職業紹介に関する23日の議論では、クレディ・スイス証券チーフ・マーケット・ストラテジストの市川真一氏が、プロ野球選手の紹介を「『ボールを打ち、走り、守る。学歴は関係ない』などとなっている」と読み上げて国費投入を疑問視するなどして、「廃止」に導いた。

 独立行政法人の無駄遣いについては、自民党政権時代には十分チェックされなかったとの指摘もあり、国民の期待も大きい。

 今回の事業仕分けは、インターネットで動画を配信する民間企業5社が生中継したが、昼休みの時間帯などにアクセスが殺到し、動画がとぎれるなど一時つながりにくくなることもあったほどだ。

 ただ、こうした追及の半面で「官僚や独法たたきのパフォーマンスが過熱しかねない」(内閣府幹部)との懸念も出ている。

 中小企業基盤整備機構の仕分け作業に出席した長谷川栄一中小企業庁長官は記者団を前にこう皮肉った。

 「今日の先生方は『無駄じゃないか』と疑い、とにかく少しでも節減しようと(いう姿勢だった)」

 (政治部 栗林喜高、経済部 有光裕)

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