【from Editor】子ども手当に学割精神を(産経新聞)

 昨春から大学院に通っている友人がいる。長年、高校教師をしていたが、教育委員会から再勉強の機会を与えられたのだ。

 五十の手習いともなれば、さすがに物覚えが悪くて苦労しているという。疲れ果てた頭を休める週末の息抜きは好きな映画。「学割が利くからな。鉄道旅行も楽しんでるわ」と笑う。その年齢で、とちょっとずるい気もするが、世の中は随分と寛容らしい。

 この学割なるもの、目的はいろいろとあるらしい。経済力の低い学生に教育と学習機会を提供する−が第一義だが、提供する側にも長期的な顧客確保の第一歩になるうえ、価格の弾力性でまとまった需要を生む効果があるという。

 私が好きな「学割精神」は30年以上前、大阪大学の古い教授に聞いた話である。

 今は大阪府吹田市にある阪大がまだ大阪市内の中之島にあったころ、近くの会社の社員食堂が安くてうまいと評判だった。昼休み前から学生たちが殺到し、品切れになって肝心の社員たちの口に入らないことが増えた。総務に苦情が殺到し、関係者以外立ち入り禁止にしたら、事情を知った社長が怒り出したという。

 「君らは何考えているんや。相手は大学生。それも阪大生やぞ。将来、あそこから銀行の頭取が出るかもしれんやないか。大事な取引先の社長になるかもしれんやないか。それが食い物の恨みで、うちと取引してくれんかったらどうするんや。それを思えば、めしぐらい安いもんや。好きなだけ食わしたれ」

 つまりは先行投資。温かく育ててやれば、お返しをしてくれることもあるかもしれぬという話である。押しつけがましさがなくて、この逸話は気に入っている。その会社は今や、世界でも名の通る食品会社に成長している。

 さて今春から、全国規模の学割のような新制度がスタートする。鳩山政権の目玉政策、子ども手当である。中学生以下の子供に月1万3千円、年にして15万6千円が支給される。高校の無償化も始まる。こうした子供対策に3兆円以上が使われる。これが生きた投資になるかどうかは、子供たちがしっかり勉強して、社会や経済を引っ張る大人、良き納税者に育つか否かにかかっている。

 子ども手当は、大人の期待のかかった贈り物。決して無償の愛ではない。その意味合いだけはしっかりと子供たちに、教えたいものである。(大阪編集長 安本寿久)

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